1体のAIに全部やらせない|受付エージェントが専門エージェントに取り次ぐ(Copilot Studio)と、その落とし穴

CopilotStudio
📝 実際に Copilot Studio を触って検証し、スクショを撮りながら気づいたことをまとめた記録です。
機能・画面・料金は更新が続きます。
最新の正確な情報は Microsoft 公式(Microsoft Learn) をご確認ください。
エージェントを増やすと、1体に機能を詰め込みがちです。
この記録は、受付役が専門エージェントに取り次ぐ仕組み(A2A=Connected agents)を実機で動かしたもの。
つなぎ方と、実際に出た3つの落とし穴をまとめました。

案内役のエージェントに「Power Automate のフローの作り方を教えて」と聞かれても、そこは別に作ってある専門のエージェントの担当でした。
1体で抱え込まず、質問を適切な相手に渡せると、指示文もナレッジも各エージェントに分けられて、それぞれが見通しよくなります。

この記事では、①取り次ぎとは何か ②つなぎ方 ③実際に動かした様子 ④やってみてわかった3つの落とし穴、の順にまとめます。

受付エージェントまず全部ここが受ける総務のエージェント休暇・申請のこと経理のエージェント経費・精算のこと情シスのエージェントPC・パスワードのこと質問した人へ答えが返る
▲ 受付エージェントがまず受けて、内容に応じて専門のエージェントへ渡す。答えは受付を通して返る

 

① 取り次ぎ(Connected agents)とは

メインのエージェントが、会話の途中で別のエージェントを呼び出せる仕組みです。
受付役が質問の内容を見て、担当の専門エージェントに渡し、その答えを受付が受け取って返します。

この記事の時点では、いくつか前提があります。

  • つなげるのは、今のところ Copilot Studio で作ったエージェントどうし
  • 同じ環境で、新しいエクスペリエンスで作ってあること
  • 取り次ぎ先が 公開(Publish)済みで、接続できる設定になっていること

 

② つなぎ方

受付エージェントの右パネルにある Connected agents から追加します。
順番があり、ここでつまずきやすい点が2つありました。

実際の画面
▲ メイン(案内係)エージェントの Build 画面。
右パネルには上から Skills・Tools・Knowledge・Connected agents が縦に並びます。
取り次ぎ先は、赤枠の「Connected agents」(一番下)に追加します。
この例では、接続先として専門役の『PA45受付エージェント』が1体つながっている状態です(チップに名前が表示されます)。
1取り次ぎ先を先に公開する
  1. 渡したい専門エージェントを開いて Publish(公開)する
  2. 発行直後は、受付側の一覧に “still drafts”(まだ下書き)と出て選べないことがある
  3. その場合は次の手順で Refresh(更新)を押すと選べるようになる
実際の画面
▲ 取り次ぎ先の追加ダイアログ。未公開のエージェントは「まだ下書き(still drafts)」と出て選べない。公開してから Refresh で一覧に出す
2受付側でつないで、説明を書く
  1. 受付エージェントの Connected agents の「+」を押す
  2. Refresh を押して、公開済みのエージェントを一覧に出す
  3. 取り次ぎ先を選び、Description(説明)に「どんなときに渡すか/渡さないか」を書く
  4. Connect して保存する

※ 説明を書くのが肝

取り次ぎ先を選んだあとの Description が、そのまま「いつ渡すか」の判断材料になります。
ここが空だと、受付エージェントは取り次ぐべき場面を判断できません。
道具(ツール)を足すときと同じで、「こういう質問が来たら、この専門エージェントに渡す」と具体的に書いておきます。

実際の画面
▲ つなぐときの Description 欄。「どんな質問に答える相手か」を書いておくと、受付エージェントが取り次ぐ場面を判断できる。ここが空だと取り次ぎが発火しない
つなぐ前の前提が「公開済み」だという点は、フローやチャネルと同じです。公開していないものは、道具としても取り次ぎ先としても選べない
作ったばかりのものが一覧に出てこないときは、まず公開できているかを疑うのが早いです。
実際の画面
▲ 接続した専門エージェント(PA45受付エージェント)は、右パネルの Connected agents にチップで並ぶ。ここに並んだ相手に、受付エージェントが取り次ぐ

 

③ 実際に動かしてみる

受付エージェントを Teams に置いて、専門エージェント(フローの作り方に答えるエージェント)を取り次ぎ先につないだ状態で試しました。

Teams で 「Power Automate のフローの作り方を教えてください」と送ると、受付エージェントが「専門の案内役に引き継ぎますね」と返し、そのあとに専門エージェントが、フローの種類や手順を表つきで答えてくれました。
1体では抱えていなかった内容が、取り次ぎで返ってきた形です。

実際の画面
▲ Teams での実際のやりとり。「フローの作り方を教えて」に受付が『専門の案内係に引き継ぎますね』と返し、続けて専門エージェントがフローの種類を表つきで回答した。上部のチャット名が長いID(GUID)で表示されているのも、実際の画面のまま

📝 Teams では名前がGUIDで出ることがある

Teams のチャット一覧では、エージェントの名前が長いID(GUID)で表示されることがありました。
開けば名前は出ますが、一覧では判別しづらいので、覚えておくと迷いません。

 

④ やってみてわかった、3つの落とし穴

ここが、実際につないで動かさないと見えてこなかった部分です。

落とし穴1:取り次ぎは、一時的に失敗することがある同じ質問でも、1回目は取り次ぎに失敗し、少し時間をおいて再試行したら成功する、ということがありました。
情報が無かったわけではありません。
対処としては「少し時間をおいて、もう一度試す」で通ることが多かったです。
一度の失敗で「使えない」と判断しないほうがよさそうです。
落とし穴2:失敗が、もっともらしい言い訳にすり替わる取り次ぎが落ちたとき、受付エージェントが返してきたのは「ただいま担当が混み合っており…」といった、それらしい説明でした。
これは受付エージェントが作った文章で、実際の失敗の原因ではありません
もっともらしく聞こえてしまうぶん、裏で取り次ぎが落ちていることに気づきにくく、調査が遅れます
うまく動かないときは、返答の文面ではなく、取り次ぎ自体が成立しているかを疑うのが早道です。
実際の画面
▲ 取り次ぎが落ちたときの実際の返答。『ただいま…混み合っており』はエージェントが作った文章で、本当の失敗原因ではない。もっともらしいぶん、裏で失敗していることに気づきにくい
指示文(自分で書いた設定)例:「毎月開催」Web検索(本物のページ)例:「毎週木曜 20:15〜」合成された回答Webが指示文を上書きすることがある
▲ 回答は「指示文」と「Web検索」の合成。ときに Web の内容が指示文を上書きする
落とし穴3:回答は「指示文+Web検索」の合成で、Webが指示文を上書きすることがある専門エージェントの指示文には「毎月開催」と書いてあったのに、返ってきた答えは「毎週木曜 20:15〜」+本物のイベントページのリンクでした。
Web検索で見つけた本物の情報が、指示文の内容を上書きした形です。
今回はたまたま Web のほうが正しく、古い指示文が直る方向に働きました。
ですが逆だったら、誤った情報のほうが勝ってしまいます
実際の画面
▲ 指示文は「毎月開催」なのに、回答は『毎週木曜 20:15〜21:00』+本物の connpass リンク。Web検索で見つけた情報が、指示文を上書きした例
だから、正確に答えさせたいことは、Web任せにしない開催日や料金のような「間違えたら困る情報」は、指示文かナレッジに自分で書いておく
Web検索は便利ですが、そのまま信じさせる設計にはしない、という線引きが要ります。

 

まとめ

取り次ぎ(Connected agents)を使うと、1体のエージェントに全部を背負わせず、質問を担当ごとに分けられます。
指示文やナレッジも分割できて、それぞれが見通しよくなります。

  • 受付が受けて、内容に応じて専門エージェントに渡す仕組み
  • つなぐ前提は「公開済み・同じ環境・新UI」。
    Description に「いつ渡すか」を書く
  • Teams で、受付→専門への取り次ぎが表つき回答で成立した
  • 落とし穴=一時的に失敗する/失敗が言い訳にすり替わる/Webが指示文を上書きする

便利なぶん、「うまくいったように見えて、裏で失敗している」が起きやすい仕組みでもあります。
正確さが要る部分は Web に任せきりにせず、自分の指示文とナレッジで固めておく。
そこまでやって、はじめて実務で使える形になると感じました。

※ 本記事は公開日時点の情報をもとに、筆者が実際に試した内容を整理しました。Copilot Studio は更新が続いており、画面や挙動、接続の条件は変わることがあります。最新の状況は公式情報(Microsoft Learn)もあわせてご確認ください。

※ 図解は説明用に作成しました。構成や図解の一部は、AI と壁打ちしながら作成しています。

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