Copilot Studioを会社で使う前に①|開発用の環境を分けて、既定の環境から出る

CopilotStudio
Copilot Studio を会社で使うときに、最初に整える2つを実機で検証しました。
開発用の環境を1つ作ることと、そこにデータ損失防止(DLP)のルールを1本当てることです。
管理側で決めた設定が、作る人の画面にどう現れるかまで確認しています。
操作した画面をすべて順番に載せているので、この記事だけで同じ構成を再現できます。

これまでは、エージェントを作る・資料を読ませる・道具を持たせる、といった作る側の話を書いてきました。
今回は方向が違い、会社として使うための土台の話です。

検証に使っているテナントは、環境が2つで、エージェントは既定の環境に置いてありました。
個人やチームで試し始めた組織で、そのまま既定の環境に集まっているのはよくある構成です。
ここを起点に、分ける手順を通しで確認します。

この記事の道のり
なぜ土台の話から始めるのか → 開発用の環境を作る(10ステップ) → その環境でCopilot Studioが使えるか確かめる
後編でDLPを作り、作る人の画面がどう変わるかを確認します。

 

いまここ

1なぜ土台から始めるか
2開発用の環境を作る
3使えるか確かめる

① なぜ「土台」の話から始めるのか

この節ですること

既定の環境をそのまま使うと何が起きるのかを見ます。
まだ操作はしません。

終わるとこうなる

なぜ環境を分けるのかを、自分の言葉で人に説明できる状態になります。

Copilot Studio を会社に入れようとすると、情報システム部門から必ず2つのことを聞かれます。「誰でも勝手に作れる状態にならないか」と、「社内のデータが外に出ないか」です。

この2つに対する答えが、今回の環境を分けることとDLPにあたります。
機能の話より前に、ここが決まらないと導入は進みません。

まず言葉を2つだけ整理します。環境は、エージェントやフローが入る「部屋」です。
部屋ごとに中身も、入れる人も別になります。既定の環境は、テナントに最初からある部屋で、全社員が自動的に「作れる人」として入っています。

用語テナント:会社ごとに割り当てられた Microsoft 365 の領域。
この中に環境やユーザーが入っています。
用語環境(かんきょう):エージェントやフローが入る部屋。
部屋ごとに中身も、入れる人も別になります。
用語既定の環境:テナントに最初からある共有の部屋。
全社員が自動で作れる人として入っていて、削除もできません。
▲ 既定の環境と、開発用に分けた環境。分けておくと、試して壊しても他に影響しない

管理センターで自分のテナントを見ると、環境は2つでした。
案内役のエージェントが入っている PA45 Demo は、種類が「既定」です。
つまり、これまでずっと全社員共有の部屋で作っていたことになります。

実際の画面
▲ 分ける前の環境一覧。PA45 Demo は種類が「既定」=テナント共有の部屋。マネージドの列も両方「いいえ」
確認する順番は、この一覧の「種類」の列です。
ここが「既定」の環境で作られていると、全社員が作れる部屋にエージェントが置かれている状態になります。
導入の相談を受けたら、まずこの画面を開いて現状を押さえるのが早道です。

 

最初に環境を分けておくと、後で本番と混ざらずに済みます。
既定の環境はみんなの共有スペースなので、実験は別に分けておくのが安心です。

いまここ

1✓ なぜ土台から始めるか
2開発用の環境を作る
3使えるか確かめる

② 開発用の環境を作る

この節ですること

Power Platform 管理センターで、開発用の環境を1つ作ります。
手順は10あります。

終わるとこうなる

壊しても他に影響が出ない、自分専用の場所ができます。

ここからが手順です。
作るのは開発者タイプの環境が1つで、既存の環境には触りません。

1管理センターを開く

  1. ブラウザで admin.powerplatform.microsoft.com を開く
  2. Copilot Studio と同じアカウントでサインインする
  3. 左側にホーム/管理/セキュリティ/ライセンスなどのアイコンが並ぶ
実際の画面
▲ Power Platform 管理センターのホーム。エージェントを作る画面(Copilot Studio)とは別のサイト
なぜそうするか作る画面と管理する画面は別々になっている。
環境やポリシーなど、会社としてのルールはすべてこちらで決める。

2容量の空きを見ておく

  1. 左ナビの「ライセンス」を開く
  2. 上部の検索ボックスに「容量」と入れて、Dataverse 容量のページを開く
  3. 環境ごとの使用量と、テナントの空きを確認する
実際の画面
▲ 容量は「ライセンス」の配下にある。検索ボックスから開くほうが早い
なぜそうするかDataverse付きの環境を作るには、テナントに1GB以上の空きが要る。
足りないまま進むと作成が失敗するので、先に見ておく。

※ 「概要」タブには数字が出ないことがある

この日は概要タブに使用量が表示されず、新しいDataverseライセンス体験への案内リンクだけが出ていました。
実数は「Dataverse」タブの表で環境ごとに確認できます。
あわせて、アドオン欄に「Copilot Studio メッセージ 0/0」と出ていました。
これは会話や実行に使うクレジットの枠がゼロという意味で、あとで効いてくる情報です。

3新しい環境を作り始める

  1. 左ナビの「管理」→「環境」を開く
  2. コマンドバーの「+ 新規」をクリック
  3. 右側に入力パネルが開く
実際の画面
▲ 「新しい環境」パネル。表に出ているのは種類・マクロ地域の地域・名前の3つだけ

※ 公開情報の手順と画面構成が異なる

解説記事や公式の手順で挙がる「目的」「Dataverse データストアの追加」といった欄は、この画面の表側には出ません。
下の「› 既定の設定を変更する」を開いた中にあります。
管理センターは更新が続いているため、手順書を作るときは折りたたみの中まで含めて書いておくと、読む人が迷いません。

4種類を選ぶ

  1. 「種類」のドロップダウンを開く
  2. 選択肢は5つ(試用(サブスクリプション ベース)/開発者/実稼働/試用版/サンドボックス)
  3. 今回は「開発者」を選ぶ
実際の画面
▲ 環境の種類は5つ。今回は無料で作れる「開発者」を選んだ
なぜそうするか開発者環境は無料枠で作れて、所有者だけが使う。
有料の容量を消費せず、既存の環境にも影響しない。
企業で同じ位置に置くのは通常「サンドボックス」で、こちらはコピーやリセットができるかわりに容量を使う。

5マクロ地域を選ぶ

  1. 「マクロ地域の地域」のドロップダウンを開く
  2. 国名ではなく大きな地域が並ぶ(アジア太平洋/ヨーロッパ、英国、中東、アフリカ/欧州連合とEFTA/ヨーロッパと英国/北米/南北アメリカ)
  3. 日本はアジア太平洋に含まれるので「アジア太平洋」を選ぶ
用語マクロ地域:データを置く大きな地域の区分。
日本はアジア太平洋に含まれ、環境を作る時点で決まります。
実際の画面
▲ 地域は国単位ではなくマクロ地域。日本はアジア太平洋に含まれる
なぜそうするか環境は地理的な場所に固定され、そこで作ったエージェントやフローはその地域のデータセンターに置かれる。
つまりデータの保存先を、環境を作る時点で決めている
あとから変更できないので、「とりあえず」で選ばない。
「うちのデータはどこに置かれるのか」という質問への答えが、この画面にある。

6名前を入れる

  1. 自動で入っている仮の名前(dev-tst-… など)を消す
  2. 分かる名前を入れる。
    ここでは「CopilotStudio45 開発」
  3. 下の要約に、種類・地域・名前が反映されていることを確認する
実際の画面
▲ 3項目を入れた状態。要約の「データベース:いいえ」に注目
保存の前に確認する要約に「データベース:いいえ」と出ます。
この既定のまま作成すると、Dataverse のない環境ができます。
Copilot Studio のエージェントは Dataverse に保存されるため、その環境では Copilot Studio を使えません。
保存の前に折りたたみを開いて、次の手順で切り替えます。

7既定の設定を開く

  1. パネル下の「› 既定の設定を変更する」をクリック
  2. 環境グループ/これをマネージド環境にする/代理で作成/Dataverse データストアを追加しますか?/Azure の従量課金制、の5項目が出る
  3. 今回は Dataverse だけを操作する
実際の画面
▲ 折りたたみの中身。企業導入で効く設定がここにまとまっている

「Azure の従量課金制」はグレーで押せず、「従量課金制を設定できるのは、運用とサンドボックス タイプの環境のみです」と注記が出ていました。
開発者環境が課金の対象外であることが、画面でも確認できます。

8Dataverse を「はい」にする

  1. 「Dataverse データ ストアを追加しますか?」のトグルをクリック
  2. 「はい」(緑)に変わる
  3. ボタンの表示が「保存」から「次へ」に変わる
用語Dataverse:Power Platform の共通データ保管庫。
Copilot Studio のエージェントもここに保存されます。
実際の画面
▲ Dataverse を「はい」にすると、ボタンが「次へ」に変わり、設定が1ページ増える
なぜそうするかCopilot Studio のエージェントは Dataverse に保存される。
Dataverse のない環境では Copilot Studio が使えず、このあとのDLPの確認もできない。
あとから追加することもできるが、先に入れておくほうが手戻りがない。

9言語と通貨を確認する

  1. 「次へ」をクリックすると2ページ目(Dataverse を追加)が開く
  2. 言語=日本語(日本)、通貨=JPY(¥) になっているかを見る
  3. URLは自動で決まる。
    サンプルアプリの展開は「いいえ」のままでよい
  4. 「保存」をクリック
実際の画面
▲ 2ページ目。言語と通貨はあとから変えにくいので、ここで確認しておく

10できあがりを待つ

  1. 一覧に新しい行が増え、状態が「準備中」になる
  2. 数分待って「最新の情報に更新」を押す
  3. 状態が「準備完了」、Dataverse 列が「はい」になれば完成
実際の画面
▲ 保存直後。状態は「準備中」で、Dataverse 列もまだ「いいえ」
実際の画面
▲ 数分後。「準備完了」「Dataverse=はい」になり、マクロ地域にアジア太平洋が入った
分ける前(環境が2つ)と、分けたあと(開発環境が増えた)の2枚がそろいました。
やったことは環境を1つ足しただけで、既存の環境には何も触っていません。

 

環境自体は無料で作れます。
マクロ地域だけは後から変えられないので、ここだけ最初に確認しておくといいかなと思います。

いまここ

1✓ なぜ土台から始めるか
2✓ 開発用の環境を作る
3使えるか確かめる

③ 新しい環境で Copilot Studio が使えるか確かめる

この節ですること

作った環境に切り替えて、Copilot Studio が使えるかを確かめます。

終わるとこうなる

エージェントを作れる状態になり、次のDLPの設定に進めます。

環境を作っただけでは、まだ使えるとは限りません。
Dataverse を入れた判断が正しかったかを、先に確かめておきます。

11環境を切り替える

  1. copilotstudio.microsoft.com を開く
  2. 右上の環境名をクリックして、環境の一覧を開く
  3. 「CopilotStudio45 開発」を選ぶ
実際の画面
▲ Copilot Studio 側の環境一覧。「対応している環境」と「既定の環境」に分かれて表示される

この一覧は、既定の環境が別枠で表示されるのが特徴です。
いま作業している環境がどちらなのかを、切り替えのたびに確認できます。
受講者や利用部門に説明するときも、この画面を見せると早く伝わります。

実際の画面
▲ 切り替えたあとのホーム。エラーは出ず、エージェントを作れる状態になっている
なぜそうするかここでエラーが出るなら、環境の作り方(Dataverseの有無)が間違っている。
先に確かめておくと、あとの工程で原因を探さずに済む。

 

ここまで完了

1✓ なぜ土台から始めるか
2✓ 開発用の環境を作る
3✓ 使えるか確かめる

④ 作業前に押さえておく仕様

今回の検証で確認できた、画面の既定値と仕様です。
手順書を作るときは、この3点を明記しておくと再現できます。

  • 新しい環境のパネルは3項目だけ:目的やDataverseの設定は「既定の設定を変更する」の中にある
  • Dataverse の既定はオフ:既定のまま作ると、Copilot Studio を使えない環境ができる
  • 容量の「概要」タブに数字が出ないことがある:実数は Dataverse タブ側で確認する

※ 費用の目安

開発者環境そのものに追加料金はかかりません。
費用が関係するのは、容量(ストレージ)とライセンスです。
Dataverse付きの環境は最低1GBの容量を使い、テナントの容量プールから引かれます。
今回の画面でも、Azure の従量課金は「運用とサンドボックス タイプのみ」と表示され、開発者環境は対象外でした。

 

ここまで完了

1✓ なぜ土台から始めるか
2✓ 開発用の環境を作る
3✓ 使えるか確かめる

まとめ

  • 会社で使う話は、機能より先に「環境を分ける」と「DLP」の2つで決まる
  • 環境の一覧で「種類」の列を見れば、既定の環境で作っているかどうかが分かる
  • 開発用の環境は、種類=開発者・Dataverse=はい で作る。
    既存の環境には影響しない
  • 地域は作成時に決まり、あとから変更できない
  • 作った環境で Copilot Studio が開けるかを、先に確かめておく

環境を1つ作るまで、作業時間は15分ほどでした。
設定の数は多くありません。
判断が要るのは、種類・地域・Dataverse の3か所だけです。
後編では、この環境にだけ効くDLPを1本作り、作る人の画面がどう変わるかを確かめます。

※ 本記事は公開日時点の情報をもとに、筆者が実際に試した内容を整理しました。
Copilot Studio と Power Platform 管理センターは更新が続いており、画面や名称、既定値は変わることがあります。
最新の状況は公式情報(Microsoft Learn)もあわせてご確認ください。

※ 掲載している画面は、操作中に撮りました。
氏名・メールアドレス・環境IDなどは伏せています。
構成や図解の一部は、AI と壁打ちしながら作成しています。

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