Copilot Studioで社内FAQに答えるAIを作る|エージェントに社内文書を読ませる「ナレッジ」の追加手順

Power Automate 実践・Tips
📝 実際に Copilot Studio を触って検証し、スクショを撮りながら気づいたことをまとめた記録です。
機能・画面・料金は更新が続きます。
最新の正確な情報は Microsoft 公式(Microsoft Learn) をご確認ください。
この記事は、筆者が Copilot Studio を実際にさわりながら、公式ドキュメント(Microsoft Learn)で仕様を確かめつつ整理した記録です。
専門用語はなるべく使わず、はじめてさわる方向けの言葉で書いています。

前回までで、Copilot Studio に指示文を4行書いただけのエージェント(AI)を作りました。
まとめて質問しても自分で分解して答えてくれる、なかなか賢い子です。

ただ、ひとつ足りないものがありました。会社のことは答えられませんでした

「有給って何日前までに申請するの?」と聞いても、返ってくるのは「一般的には…」という話。
結局は自分で就業規則を開くことになります。

ここで足すのがナレッジ(Knowledge)です。
エージェントに”参考資料”として会社の文書を渡すと、答えが一気に社内基準に変わります。

Copilot Studioでナレッジを追加する前と後の回答の違い
▲ 社内文書を1つ足すだけで、答えが「一般論」から「うちのルール」に変わる

 

いまここ

1ナレッジとは
2入れられる資料
3入れてみる
4答えの変化
5制限を知る

ナレッジとは、エージェントに渡す”参考資料”のこと

この節で分かること

エージェントに渡す参考資料とは何かを確認します。
読み終えるとこうなる

なぜ資料を入れると答えが変わるのかが分かります。

ナレッジは、エージェントが回答するときに参照できるデータのことです。
指示文が「どう振る舞うか」を決めるのに対して、ナレッジは「何をもとに答えるか」を決めます。

📝 指示文(Instructions)キャラクターや答え方のルールを決める部分。
「日本語で丁寧に」「わからないことは正直にわからないと言う」など、振る舞いを書く。
📚 ナレッジ(Knowledge)答えの根拠になる資料そのもの。
就業規則、手順書、製品マニュアル、SharePointのサイトなどを渡すと、その中身をもとに答えるようになる。
言いかえると、指示文=人柄、ナレッジ=手元の資料です。
新人さんに「丁寧に応対してね」と伝えるだけでなく、社内マニュアルを渡してあげるのと同じことをしています。

💡 「PA45」とは?

この記事に出てくる PA45 は、筆者が運営している「Power Automate を45分で学ぶ、無料のオンライン勉強会」です(毎週木曜の夜・初心者歓迎)。
今回のエージェントも、この勉強会の題材として作っています。

 

ナレッジは、エージェントに渡す参考資料みたいなものです。
ここに社内の文書を入れておくと、一般論ではなくその資料をもとに答えてくれるようになります。
いまここ

1✓ ナレッジとは
2入れられる資料
3入れてみる
4答えの変化
5制限を知る

追加できる資料の種類

この節で分かること

どんな形式の資料を渡せるのかを見ます。
読み終えるとこうなる

手元の資料が使えるかどうかを判断できます。

ナレッジとして追加できるものは、思ったより幅広いです。
代表的なものを挙げます。

追加できるもの こんなときに使う
ファイルのアップロード 就業規則、手順書、製品カタログなど、決まった文書を直接読ませたいとき
SharePoint 部署のサイトやドキュメントライブラリを丸ごと参照させたいとき
公開Webサイト 自社の公開ページや、公開されている製品ドキュメントを参照させたいとき
Dataverse テーブルに入っている業務データ(申請、案件など)を参照させたいとき
Azure AI Search 大量の文書をすでに検索用に整えてある場合
そのほか Dynamics 365、Salesforce、ServiceNow など。追加ダイアログの「Advanced」タブには Confluence や Jira なども並びます

最初の一歩としておすすめなのは、いちばん上のファイルのアップロードです。
PDF や Word をドラッグして入れるだけなので、管理者に相談しなくても試せます。

 

いまここ

1✓ ナレッジとは
2✓ 入れられる資料
3入れてみる
4答えの変化
5制限を知る

やってみる:ナレッジを足す3ステップ

この節ですること

実際にナレッジを追加します。
手順は3つです。
終わるとこうなる

エージェントが社内文書を読める状態になります。

新しい画面(新エクスペリエンス)での手順です。
ここでは、就業規則の PDF を1つ読ませてみます。

Copilot Studioのナレッジ追加ダイアログと3ステップの図解
▲ ナレッジの足し方。追加ダイアログから資料を選び、名前と説明を書いて追加するだけ

① Buildタブの右パネルで「Knowledge」の+を押す

操作に入る前に、どこから始めるかを確認します。
Copilot Studio(copilotstudio.microsoft.com)に会社のアカウントでサインインし、前回つくった受付エージェントを一覧から開きます。
開くと下のような編集画面(Build)になり、画面の右側にコンポーネントのパネルが並びます。

ナレッジを足す画面にたどり着くまで

Copilot Studio
を開く

受付エージェント
を開く(前回)

編集画面(Build)
が開く

右パネルの
Knowledge の「+」

パネルは Model(モデル)、Tools(ツール)と続いて、Knowledge の行があります。
その右端の が入口です。

🖥️ 実際の画面

Copilot StudioのBuildタブ右パネルにあるKnowledgeの項目

① ここの+から追加
▲ 右パネルの Knowledge。既定では「Search all websites(Web検索)」だけが入っている

作ったばかりのエージェントには、たいてい Search all websites(Web を検索する)だけが入っています。
冒頭の「一般論しか返ってこない」は、これが理由です。

②「Add knowledge」で追加元を選ぶ

+を押すと Add knowledge(ナレッジの追加)というダイアログが開きます。

いちばん目立つ場所にファイルの投入エリアがあり、そこへ PDF や Word をドラッグするだけで追加できます。
OneDrive や SharePoint にあるファイルを指定することもできます。

その下には Featured(おすすめ)と Advanced のタブがあり、SharePoint、公開Webサイト、Dataverse などのカードが並んでいました。
使いたい追加元をここから選びます。

🖥️ 実際の画面

Copilot StudioのAdd knowledgeダイアログ
▲ Add knowledge のダイアログ。上のエリアにファイルをドラッグして追加でき、下に Public websites・SharePoint・OneDrive などの追加元カードが並ぶ
📂 ファイルで追加するときの対応形式

Word(doc / docx)、Excel(xls / xlsx)、PowerPoint(ppt / pptx)、PDF
テキスト(txt / md / log)、HTML、CSV、XML、JSON、YAML など
※ 画像・動画・音声そのものは追加できません(PDFに埋め込まれた画像は読めます)

③ 名前と「説明」を書いて追加する

資料を選んだあとは、名前と説明を入力して「エージェントに追加」で完了です。

ここでいちばん大事なのが説明です。
エージェントは、質問を受けたときに「どの資料を見にいくか」を自分で判断します。
その判断材料が、この説明文です。

🖥️ 実際の画面

SharePointナレッジの説明欄
▲ 資料を選んだあとの一覧。右の Description(説明)欄が、エージェントが『どの資料を見るか』を判断する材料になる(左のリンク・名前は伏せています)
❌ もったいない説明「就業規則」だけ。
何が書いてあるのか分からないので、AI が参照すべき場面を判断しづらい。
⭕ 効く説明「有給休暇・特別休暇・勤務時間・申請期限など、社員の勤務に関する社内規程。
休暇や勤怠の質問はこの資料を参照する」と具体的に書く。
資料が2つ3つと増えてくると、この説明の書き方で回答の精度がはっきり変わってきます。面倒でも、1〜2文は具体的に書いておくのがおすすめです。

 

資料は入れて終わりではなくて、少し待って準備完了になってから試すのがコツでした。
すぐ聞くと、まだ読めていないことがあります。
いまここ

1✓ ナレッジとは
2✓ 入れられる資料
3✓ 入れてみる
4答えの変化
5制限を知る

追加すると、答えはこう変わる

この節で分かること

入れる前と入れたあとの答えを見比べます。
読み終えるとこうなる

効いているかどうかを自分で判定できます。

同じ質問をもう一度投げてみます。

有給って、何日前までに申請すればいいですか?

ナレッジを足す前は「一般的には数日前から2週間前まで…」という一般論でした。

足したあとは、就業規則の中身をもとに「原則5営業日前まで」と答えました。
しかも回答の下に出典が付き、どのファイルの何条を見たのかが分かりました。

この出典が付くところが、社内で使ううえではかなり重要です。
AI の答えをうのみにせず、元の資料をその場で確認できるからです。

 

同じ質問でも、資料を入れる前と後で答えがはっきり変わります。
ここを一度自分の目で見ておくと、ナレッジの効き目が腹落ちすると思います。
いまここ

1✓ ナレッジとは
2✓ 入れられる資料
3✓ 入れてみる
4✓ 答えの変化
5制限を知る

つまずきやすいポイント(先に知っておきたい制限)

この節で分かること

先に知っておきたい制限をまとめます。
読み終えるとこうなる

うまくいかないときに原因を絞り込めます。

公式ドキュメントで確認できた制限のうち、実務で引っかかりそうなものを挙げておきます。

制限 内容
ファイルサイズ 1ファイル 512MB まで
ファイル数 1つのエージェントに 最大500ファイル まで
読めないファイル 画像・動画・音声・実行ファイルは不可。パスワード保護や暗号化されたファイルも不可
SharePointリスト 一度に選べるのは最大10個。35,000行を超えるリストは精度と応答速度に影響
アクセス権 SharePoint を参照する場合、その人が見られる資料からしか回答しない(権限が引き継がれる)
環境の設定 ファイルをアップロードして使うには、環境で Dataverse 検索が有効になっている必要があります
とくに注意したいのがアクセス権です。
SharePoint をナレッジにした場合、回答は「質問した人が見られる範囲」に限られます。
これは安全側の動きですが、逆に言えば「同じ質問でも人によって答えが変わる」ということでもあります。
テストは、実際に使う人の権限でも確認しておくと安心です。

⚠ 新しい画面は今のところ英語表示です

新エクスペリエンス(新しいエージェント作成画面)は、現時点では英語表示で、production-ready preview という位置づけです。
ボタン名が英語のままでも、やっていることは記事のとおりです。

 

社内で使う前に、ひと呼吸

技術的には数分で追加できてしまうので、つい勢いで進めたくなります。
ただ、社内文書を AI に読ませる前に、次の2点だけは確認しておきたいところです。

  • その資料は、誰に見せてよいものか
    人事評価や個人情報を含む資料は、まず対象から外す
  • 会社としての生成AIの利用ルール
    テナントの設定や社内ガイドラインの範囲内かどうかを、情シスに一度確認しておく

筆者は、まず自分で作った公開資料(勉強会の案内など)で試してから、社内文書に広げるようにしています。

 

ここまで完了

1✓ ナレッジとは
2✓ 入れられる資料
3✓ 入れてみる
4✓ 答えの変化
5✓ 制限を知る

まとめ

今回やったことは、これだけです。

  • Buildタブ右パネルの Knowledge の+ を押す
  • Add knowledge のダイアログで、ファイルや SharePoint を選ぶ
  • 名前と説明を書いて「エージェントに追加」

指示文は1文字も変えていません。
それでも、答えは「たぶん一般論」から「うちのルール」に変わります。

社内の”よくある質問”を集めた FAQ ページを作ってはみたものの、けっきょく誰も見にこない。
そんな資料こそ、エージェントに読ませてしまうのが向いていると思っています。

📋 この記事で学んだこと

 

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※ 本記事は公開日時点の情報をもとに、筆者が実際に学んで試した内容を整理しました。Copilot Studio の画面や仕様は更新されることがあるため、最新の状況は公式情報(Microsoft Learn)もあわせてご確認ください。ファイル形式・容量・件数などの制限は Microsoft Learn の記載を参照しています。

※ 本記事の構成や図解の一部は、AI と壁打ちしながら作成しています。

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