レシートを撮るだけで家計簿が埋まる|Power Automate × AI Builder 領収書処理の作り方

Power Automate 実践・Tips

レシートをスマホで撮るだけで、店名・日付・金額がExcelに1行ずつ増えていく。
月末になると、その1ヶ月分をAIが要約してTeamsに送ってくる。
そういう仕組みをPower AutomateとAI Builderで作りました。

手を動かすのは「レジを離れる前にレシートを撮る」ところだけです。
残りは全部フローの担当になります。

この記事では、作り方の手順に加えて、先に決めておかないと後で困る設計と、有料機能であるAI Builderのコストの実際を書きます。

📷 レシートを撮る 自分がやるのはここだけ 📁 OneDrive レシート専用フォルダ 🧠 AI Builder 領収書から 情報を抽出する 📊 Excel に1行追加 店名・日付・合計 💬 月末に Teams へ 撮る係は自分、あとの4つは全部フローの担当
▲ 完成したときの流れ。撮ったあとは自動で進みます
家計簿アプリと違うのは、データが自分のExcelに残るところです。
あとから自分で集計をやり直したくなったときに融通が効きます。

この記事で作るもの

フロー① ためる係レシート画像が増えるたびに動いて、読み取った結果をExcelに1行追加します
フロー② 見返す係月末に1回だけ動いて、1ヶ月分をAIに要約させてTeamsに送ります
撮る側の準備スマホのホーム画面から1タップで、専用フォルダに保存されるようにします
読めなかった時の保険金額が空のまま進まないよう、自分に通知を出す分岐を入れます

用意するもの

  • Microsoft 365アカウント(OneDrive・Excel・Teamsが使えるもの)
  • AI Builderのクレジットが使える環境(ここが唯一のハードルです。
    後述します)
  • スマホ(撮る側の自動化に使います。
    手動でフォルダに入れるなら無くても動きます)
  • レシート5枚くらい(最初は試運転で十分です)

AI Builderは無料ではありません

領収書の読み取りはAI Builderという有料機能を使います。
1枚読むごとにクレジットを消費します。
いくら必要になるかは、この記事の後半で実際の数字を出しています。

最初に決めること:レシート専用のフォルダを1つ作る

作り始める前に、ここだけ先に決めてください。
あとから変えると面倒になる、というより、決めずに始めるとクレジットが一気に減ります

OneDriveのスマホアプリには、撮った写真を全部OneDriveに同期する機能があります。
これをONにしたまま「画像が増えたら読み取る」フローを作ると、家族写真もスクリーンショットも同じように読み取りにかけられます。

✗ カメラの写真を全部同期 📷 レシート/家族写真/スクショ /子どもの動画/画面メモ … ↓ 全部がトリガーを起こす 1枚ごとに 32 クレジット消費 家族写真でも同じだけ減る ✓ レシート専用フォルダを1つ作る 📁 /Pictures/レシート ここに入った画像だけ ↓ 対象が絞られる レシートの枚数ぶんだけ消費 読める枚数が計算できる
▲ 対象を絞るかどうかで、消費するクレジットがまったく変わります
0作り始める前にやること
  1. OneDriveに /Pictures/レシート のようなフォルダを1つ作る(名前は自由です。
    フロー側と揃っていれば大丈夫です)
  2. レシート以外の画像はここに入れないと決める
  3. このフォルダだけをフローの対象にする(次のステップで指定します)

撮るところを1タップにする

続くかどうかは、正直ここで決まると思っています。
「あとでまとめてやろう」と財布に入れた時点で、だいたい溜まります。

スマホのショートカット機能を使うと、ホーム画面のアイコンを押す→カメラが開く→撮る→専用フォルダに保存、までを続けて動かせます。
レジを離れる前の数秒で終わるので、溜める前に片付きます。

この部分は無くてもフロー自体は動きます。
先にフローを完成させて、撮る側の自動化はあとから足す順番でも大丈夫です。

フローの全体像

Power Automate側は2本に分けて作ります。
きっかけが「画像が増えたとき」と「月末になったとき」で別物なので、1本にまとめると後から触りにくくなります。

フロー① ためる係(画像が増えるたびに動く) ファイルが 作成されたとき 領収書から情報を抽出する Excel に行を追加 空なら 自分に通知 フロー② 見返す係(月末に1回だけ動く) スケジュール起動 Excel から1ヶ月分を取得 AI に要約させる Teams に投稿
▲ ためる係と見返す係。別々に作って、別々に直せるようにします

フロー① レシートを読んでExcelに書くまで

1きっかけを置く
  1. 自動化したクラウドフローを新規作成します
  2. トリガーは OneDrive for Business の「ファイルが作成されたとき」を選びます
  3. フォルダーに、さっき作ったレシート専用フォルダを指定します
  4. ここでフォルダを絞り忘れると、全画像が対象になります。
    指定できているか一度確認してください
2レシートを読み取る
  1. 新しいステップで AI Builder を選びます
  2. アクションの一覧から「領収書から情報を抽出する」を選びます
  3. 読み取り対象のファイルに、トリガーで取得したファイルコンテンツを入れます

出典:Power Automate で領収書処理の事前構築モデルを使用する(Microsoft Learn)

このモデルが返してくれる項目は決まっています。
よく使うものを抜き出すと、こんな内容です。

返ってくる項目 中身
MerchantName 店名
TransactionDate / TransactionTime 取引した日付と時刻
Total 合計金額
Subtotal 小計
TaxDetails 税額・税率など
PurchasedItems 購入した品目の一覧(名前・価格・数量・合計)
DetectedText 認識できたテキスト行の全部

出典:領収書処理事前構築済み AI モデル(Microsoft Learn)

品目の明細まで取れることになっています。
ただ、手元のレシート数枚で試した範囲では、店名・日付・合計は安定して取れる一方で、明細は読み取りの揺れが出やすい印象でした。
家計簿として成立させるだけなら合計金額があれば足りるので、最初は店名・日付・合計の3つに絞るところから始めるのが無理がないと思います。

3Excelに1行追加する
  1. Excel Online (Business) の「テーブルに行を追加」を選びます
  2. あらかじめOneDrive上のExcelに、日付・店名・金額・カテゴリの列を持つテーブルを作っておきます
  3. 各列に、さっきのMerchantName・TransactionDate・Totalを割り当てます
  4. カテゴリ列は空のままにしておいて、あとから自分で埋める運用でも十分です
4読めなかった時の保険を足す
  1. 「条件」を追加して、合計金額が空かどうかで分けます
  2. 空だった場合は、Teamsで自分宛てに「読み取れなかったレシートがあります」と通知します
  3. 通知が来たものだけ、手でExcelに入力します
この分岐が無いと、読み取れなかったレシートが黙って消えます。
金額が合わない原因を後から探すのは大変なので、最初から入れておくほうが楽です。

フロー② 月末に1ヶ月分を振り返る

こちらはスケジュール実行のフローとして、別に作ります。

5月末フローを組む
  1. スケジュール済みクラウドフローを新規作成します(月に1回・夜の時間帯がおすすめです)
  2. Excel Online (Business) の「表内に存在する行を一覧表示」で、1ヶ月分のデータを取ります
  3. 取得した行をAIに渡して、支出の傾向を短くまとめてもらいます
  4. できた文章をTeamsで自分宛てに投稿します

AIに投げるときの頼み方は、シンプルなほうが読みやすい結果になりました。

次の購買データから、支出の傾向を3つだけ挙げてください。
説教や評価は書かず、事実として観察できることだけを短く書いてください。

(ここにExcelから取得したデータを入れる)

「無駄遣いです」と言われるとだんだん開かなくなるので、評価はしないでほしい、と先に書いておくのが個人的には合っていました。

動かしてみる

  • まずレシートを1枚だけフォルダに入れて、フロー①が最後まで緑になるか確認します
  • Excelに行が増えているか、金額がずれていないかを目で見ます
  • わざと関係ない画像を入れて、意図しない動きをしないかも確認しておくと安心です
  • フロー②はスケジュールを待たずに、手動テストで一度動かしておきます

モデルのテスト自体はクレジットを消費しません

AIモデルのページで事前構築済みモデルをテストする操作は、クレジットを消費しないとされています。
読み取りの精度だけ先に確かめたいときは、フローを組む前にそちらで試せます。

出典:ライセンスと AI Builder クレジット(Microsoft Learn)

つまずきやすいところ

起きること 理由と対処
読み取りが失敗する 画像はJPEG・PNG・PDFのいずれかで、20MB以下、50×50〜10,000×10,000ピクセルの範囲に収める必要があります
2ページ目が無視される このモデルは複数ページに対応していません。領収書が写っている最初のページだけが処理されます
まとめて入れたら途中で止まった 同じ環境からの呼び出しは60秒あたり360回までという制限があります。大量に一度へ流し込まないほうが安全です
日付の年が入らない 年が印字されていないレシートがあります。空だった場合はファイルの作成日で補う、と決めておくと運用が止まりません

出典:領収書処理事前構築済み AI モデル(Microsoft Learn)

コストの話(ここが一番気になるところだと思います)

AI Builderはクレジットを消費して動きます。
公式の資料に、領収書処理の消費量がはっきり書かれています。

項目 数字
領収書1枚の読み取り 32クレジット
Power Automate Premium に付いてくる分 5,000クレジット(1ライセンスあたり)
上の枠で読める枚数の目安 月およそ150枚
使い切らなかった分 翌月には繰り越されません

出典:ライセンスと AI Builder クレジット(Microsoft Learn)

個人の家計簿として使うぶんには、月150枚は現実的には余る枠だと思います。
逆に言うと、フォルダを分けずに家族写真まで読み取りにかけてしまうと、この枠はあっという間になくなります。
最初にフォルダを決めてください、と書いたのはこの理由です。

2026年11月1日に、ライセンスに付いてくるクレジットの扱いが変わることが公式に告知されています。
Power Automate Premiumなどに含まれているぶん(シードクレジット)は削除され、新規のお客様はAI Builder容量アドオンを購入できなくなる、とされています。
これから始める場合は、自分の環境で今どうなっているかを先に確認しておくと安全です。

出典:ライセンスと AI Builder クレジット(Microsoft Learn)

プライバシーについて

  • レシートにはクレジットカード番号の下4桁が印字されていることがあります
  • レシート用のフォルダは共有しない設定のままにしておくのが無難です
  • ブログやSNSに読み取り結果を載せるときは、店名と金額以外は隠したほうが安全です

まとめ

  • 撮る係だけ自分がやって、読む・書く・振り返るはフローに任せる構成です
  • 先にレシート専用フォルダを決める。
    ここだけは後回しにしないほうが楽です
  • アクションは AI Builder の「領収書から情報を抽出する」を使います
  • 最初は店名・日付・合計の3つに絞る。
    明細は慣れてから足せます
  • 金額が空だったら自分に通知する分岐を、最初から入れておきます
  • 1枚32クレジット。
    フォルダを絞れていれば、個人利用の枠としては足ります

この記事でやったこと

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この記事は公開日時点で筆者が学んで試した内容をまとめたものです。Power AutomateやAI Builderの画面・名称・ライセンスの条件は変わることがあります。実際に作るときは、記事内でリンクしているMicrosoft Learnの最新の記載もあわせて確認してください。
構成や図解の一部は、AIと壁打ちしながら作成しています。

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