【登壇_Happy-LowCode】PAD と Computer use を比べてわかったこと

Power Automate 実践・Tips
Happy Low-Code(2026-10-26・オンライン)で話した45分の登壇を、スライドと一緒に文章に残した記録。
この記事のゴール:同じ画面作業を PAD と Copilot Studio の Computer use に任せて分かったことと、Computer use にも PAD と同じくらい細かい手順を渡すと、遠回りせずに答えたという結果を持ち帰ることです。
スライドは こちら で公開しています。

2026年10月26日の Happy Low-Code で、45分の枠をいただいて登壇しました。

登壇の機会をくださった主催の百合宮桜さん、聞いてくださった皆さん、ありがとうございました。

 

演題はAIが画面を操作する時代に、PADが活躍できる場所。
PAD(Power Automate for desktop)と、Copilot Studio の Computer use に、同じ画面作業を任せて比べた内容です。

結論を先に書いておきます。

Computer use にざっくり頼むと、答えにはたどり着くが、行ったり来たりしてコストがかかる。
PAD を作るときと同じくらい細かい手順を渡すと、遠回りせずに答えた。

 

いまここ

1師匠の表
22つの違い
3ざっくり頼むと
4なぜ
5手順を渡すと

始まりは、師匠の表

この節で分かること

PAD を学び始めたときに言われたことと、今日の題材を見ます。

読み終えるとこうなる

この話の最後につながる、師匠の表の中身が分かります。
業務フローを整理し、断捨離し、手順を1つずつ Excel に書く
▲ スライド4ページ:PAD を始めたとき、師匠に最初に言われたこと

PAD を学び始めたとき、会社に PAD の師匠のような人がいました。
フローを作り始める前に言われたのが、次の3つです。

  • 業務フローを整理する
  • 整理したら、断捨離する
  • 手順を1つずつ Excel に書く。
    クリック1つまで
画面・操作・対象・入力・値・確かめること・止めどころの5列、7行の表
▲ スライド5ページ:師匠に書けと言われた表を、今日の題材で書いたもの

今日の題材を、その教えのとおりに書くと、この表になります。
題材は、connpass で PA45 の次回の日付と URL を調べる作業です。
人なら1分で終わります。

それでも、1行に1つの操作を書き、確かめることと止めどころまで決めます。
早くフローを作って動かしたかった当時の私には、遠回りに見えました。

 

いまここ

1✓ 師匠の表
22つの違い
3ざっくり頼むと
4なぜ
5手順を渡すと

PAD と Computer use の違い

この節で分かること

2つの道具が、どこで判断しているかを見ます。

読み終えるとこうなる

同じ画面操作でも、中で起きていることが違う理由が分かります。
PADPower Automate for desktop の略。
パソコンの画面操作を、決めた手順で自動にする RPA の道具。
画面の部品を1つずつ指定して、順番に並べます。
Computer useCopilot Studio のエージェントが使う道具の1つ。
やりたいことを文章で頼むと、AI が画面を見て、その場でどこを押すかを考えてクリックや入力をします。
1手ごとに Copilot クレジットを消費します。
PAD は真面目すぎる人、Computer use は臨機応変に進める人
▲ スライド11ページ:2つを人にたとえると

2つを人にたとえると、こうなります。

PAD:真面目すぎる人決めた手順以外はやらない。
1つでもズレたら、そこで止まる。
Computer use:臨機応変に進める人とりあえずやってみて、だめなら別の手。
その場で考えながら進む。
PAD の実行結果。2026/10/29(木) と表示
▲ スライド15ページ:PAD は作るときに決めて、そのとおりに押す

PAD では、どこを押すかを作るときに人が決め終えています。
作るのに6分30秒かかりましたが、動かすと決めたとおりに押して、第33回の 10/29 を正しく返しました。

Computer use の手順の欄に書いた1文
▲ スライド16ページ:Computer use には、やりたいことを文章で頼む

Computer use では、手順の欄に文章を書くだけです。
部品の指定はしません。
どこを押すかは、実行のたびに AI が画面を見て決めます。

 

いまここ

1✓ 師匠の表
2✓ 2つの違い
3ざっくり頼むと
4なぜ
5手順を渡すと

ざっくり頼むと、行ったり来たりする

この節で分かること

Computer use に、ざっくりした1文で頼んだ結果を見ます。

読み終えるとこうなる

答えにはたどり着いても、途中で何が起きていたかが分かります。
頼んだ文と、最後の答え、手数11、55クレジット
▲ スライド19ページ:ざっくりした1文で頼むと、答えは合っていた

手順の欄に書いたのは、次の1文だけです。

https://connpass.com を開き、「PowerAutomate45」で検索して、次回イベントの日付とURLを記録してください。

どこを押すか、0件ならどうするか、どう確かめるかは書いていません。
答えは合っていました。
手数は11、1手5クレジットで55クレジットです。

最初の検索は2件、押し間違えて戻ると37件
▲ スライド20ページ:途中で、答えの画面を手放し、行ったり来たり

ただし途中を見ると、行ったり来たりしていました。
最初の検索で、開催前だけに絞り込まれた2件の画面に来ていて、一番上が答えでした。

ところが、タイトルではなくサムネイル画像を押してしまい、戻ると絞り込みが外れた37件の画面になりました。
そこからスクロールし、2ページ目へ行き、並び順を変えて、次回を探し直しています。

同じ考えが何度も続く画面と、0件のままの画面、355クレジット
▲ スライド21ページ:何度も繰り返して、止まらないことも

同じ1文で、検索語だけ、まだイベントのない講座名に変えて頼んだこともあります。
正解は、見つかりません、です。

このとき AI は、0件の画面と検索欄を何度も行き来しました。
検索語を短くしては、入力欄の候補から元の検索語を選び直して0件に戻る、を繰り返し、終わる様子がなかったので人が止めました。

管理センターで見ると、この日の3回の実行で355クレジットを消費していました。
そのほとんどが、この行ったり来たりの分です。

クレジットの数え方

1手5クレジットは、標準のモデル(このときは Claude Sonnet 4.5)の場合です(Microsoft Learn の Computer use のページ、2026-10-20 確認)。
テストで動かした分も消費されることを、Power Platform 管理センターで確認しています。

 

いまここ

1✓ 師匠の表
2✓ 2つの違い
3✓ ざっくり頼むと
4なぜ
5手順を渡すと

なぜ、行ったり来たりするのか

この節で分かること

ざっくり頼んだときに遠回りする理由を、AI の考えのログから見ます。

読み終えるとこうなる

指示に何が足りなかったかが分かります。
AI の考えと、指示の読み方の図
▲ スライド24ページ:書いていないことは、AI がその場で考えて補う

AI の考えのログを読むと、0件の画面を見たあと、正確な名前では見つからないので別の検索方法を試す、と書いていました。

指示は、検索して次回イベントの日付と URL を記録して、でした。
AI はこれを、イベントはあるという前提で読み、0件を答えではなく探し方の失敗と受け取ったように見えます。
ここはログから読んだ私の解釈です。

ざっくりした1文には、どこを押すか・0件ならどうするか・どう確かめるかが書いていない。
そこを AI が毎回その場で考えるので、行ったり来たりする。
PAD のエラー画面と、0件のまま回り続けた画面
▲ スライド25ページ:PAD は止まって知らせる。AI は止まらない

PAD は、準備の途中で検索欄が見つからず、エラーで止まりました。
どこで止まったかが分かったので、私が直せました。

Computer use は、0件でも探し方を変えて回り続けました。
止まるというのは、ここを確かめて、と人に声をかけてくれることだと考えています。

 

いまここ

1✓ 師匠の表
2✓ 2つの違い
3✓ ざっくり頼むと
4✓ なぜ
5手順を渡すと

師匠の手順を渡したら、遠回りせずに答えた

この節で分かること

師匠の表を、そのまま Computer use への指示にした結果を見ます。

読み終えるとこうなる

ざっくり頼んだときとの違いが分かります。
表の4か所に、AI のつまずきの印
▲ スライド28ページ:師匠の Excel 表で、AI のつまずきは防げていた

最初の師匠の表に、今日 AI がつまずいた所の印を付けました。
近道を手放した、検索語を変えた、回り続けた、確かめずに答えた。
4つとも、表を書いた時点で決まっていたことです。

そこで、この表を1行に1つの操作を書いた13行の手順にして、Computer use の手順の欄に書いてみました。
検索語は同じ PowerAutomate45、モデルも同じです。

手順の欄に書いた13行、AI の考え、最後に開いたページ
▲ スライド29ページ:師匠の手順を渡したら、遠回りせずに答えた
  • 検索欄に候補が出ても、指示では候補から選ばないことになっている、と書いて自分で入力した
  • 2件の画面のまま、サムネイルではなくタイトルの文字を押した(1回目は画面が変わらず、押し直した)
  • 10/29 20:15〜、URL つきで正しく答えた。
    37件の画面には行かなかった

試した回数

この結果は、2026-10-26 に1回動かしたものです。
何回か動かしたときに毎回同じになるかは、まだ確かめていません。

真面目くんとギャル男くんが握手している絵
▲ スライド30ページ:師匠の手順を、Computer use に渡したら、ちゃんとできた
指示1文から、どこから・何を・どこで止める・どう確かめるを足していくと、ほぼ PAD の手順と同じになる
▲ スライド32ページ:AI を確実にしようとするほど、指示は手順に近づく

AI のつまずきを防ごうとして指示を足していくと、どこから始めるか、何を入れるか、どこで止めるか、どう確かめるか、と増えていきます。
足すほど、指示は PAD の手順に近づきます。

AI に任せるかどうかは、オンかオフではなく、どこまで人が先に決めておくかの目盛りだと考えています。
人が決めるのは何を・どこまで。
AI に任せるのはどこを押すか、です。

師匠の表を書くのは、当時は面倒でした。
今回あらためて書いてみて、その表がそのまま AI への指示にもなることが分かりました。

 

まとめ

  • Computer use にざっくりした1文で頼むと、答えにはたどり着く。
    ただし行ったり来たりして、止まらないこともあり、そのぶんクレジットを消費する
  • 原因は、どこを押すか・0件ならどうするか・どう確かめるかを書いていないこと。
    そこを AI が毎回その場で考える
  • PAD を作るときと同じくらい細かい手順を渡すと、遠回りせずに答えた
  • PAD で鍛えた、業務を棚卸しして・断捨離して・言葉にする力は、そのまま AI への指示を書く力になる
棚卸し・断捨離・言語化
▲ スライド35ページ:持ち帰り3つ

明日、自分の業務を1つ選んで、手順を全部書き出すところから試せます。
要らない手順を捨て、あいまいな所を決めきって、誰がやっても同じに動く言葉にする。
それが PAD のフローになり、AI への指示にもなります。

 

登壇を終えて

話し終えて、よい登壇になったと感じています。
準備の中で考えたことを、感想として残しておきます。

資料は最初、実験1・実験2と、試したことごとに分けて作っていました。
並べて通しで見ると、話が広がってしまい、何を持ち帰ってほしいのかが自分でも見えにくくなっていました。

そこで、ざっくり頼むと行ったり来たりする、細かい手順を渡すと遠回りしない、という1本の流れに組み直しました。
試したことを全部見せるより、言いたいことを1つに絞ったほうが伝わる、というのが今回の準備で得た大きな学びでした。

師匠の手順を Computer use に渡す試しは、登壇当日の昼に動かしたものです。
ここで遠回りせずに答えたことで、最初の師匠の表と、最後の AI への指示が1本につながりました。

PAD を学び始めたころ、手順を1行ずつ Excel に書くのは面倒で、遠回りに見えていました。
AI が画面を操作するようになっても、その表がそのまま役に立つ。
PAD をやってきた意味を、自分の中で整理できた登壇でした。

次は、師匠の手順を渡した実行を何回か繰り返して、毎回同じ道筋で答えるかを確かめるつもりです。
結果が出たら、この記事か PA45 で共有します。

 

登壇スライド(36枚)

当日のスライドをそのまま公開しています。実画面のスクリーンショットも入っています。

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※ 本記事は公開日時点の情報と、筆者が検証用の環境で試した結果をもとにまとめています。画面や仕様は変更されることがあるため、最新の状況は Microsoft Learn もあわせてご確認ください。

※ 本記事の構成や図解の一部は、AI と壁打ちしながら作成しています。

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