講座の運営をクラウドフローで自動化した話|RPACommunity LT

社内DX推進・人材育成
RPACommunity「Power Automate スペシャル!ライトニングトーク会」(2026-10-19・東京赤坂とオンラインのハイブリッド開催)で話した10分のLTを、スライドと一緒に文章に残した記録。
この記事のゴール:講座の運営をクラウドフローで自動化したときの構成と、送る条件を日時ではなく状態で決める考え方を持ち帰ることです。最後に、参加してくださった方向けに公開したソリューション一式のリンクを載せています。

2026年10月19日の RPACommunity「Power Automate スペシャル!ライトニングトーク会」で、LT3として10分の枠をいただきました。
私はオンラインからの登壇です。

登壇の機会をくださった RPACommunity 東京本部の運営の皆さん(Mitzさん・フクイさん・百合宮桜さん・きぬあささん・eluさん)、ありがとうございました。
会場と配信のハイブリッド開催の中で、広島からのオンライン登壇にも対応していただきました。

あーちゃんさんにも、お礼を!
Mitzさんへつないでいただいたことが、今回の登壇のきっかけでした。
当日はスペシャルセッションも担当されていて、同じ回で話せたことをうれしく思っています。

演題は受講申込みから参加バッジの授与まで、Power Automate 講座の運営をクラウドフローで自動化した話。
勤務先の社内講座で、講座1回ごとに発生していた案内・リマインド・集計・バッジの授与を自動化した内容です。

結論を先に書いておきます。

送る条件は、日時ではなく、リストの状態の列で決める。
送ったらすぐ送信済みを書き戻す。
人が残るのは、送る前の承認だけ。

 

いまここ

1きっかけ
2全体の構成
3状態で送る
4承認とAI
5配布キット

始めたきっかけと、価値を生む時間

この節で分かること

Power Automate を始めた理由と、講座の運営で自動化する範囲の決め方を見ます。
読み終えるとこうなる

どの作業を仕組みに任せるかを決める基準が分かります。
製造業の生産技術、エンジニアがエンジニアリングできていない、自分の仕事に集中できる時間を作る
▲ スライド3ページ:Power Automate を始めたきっかけ

このスライドは、Power Automate を始めたきっかけを、左から右へ3つの箱で並べたものです。

左の箱が、最初に Power Automate を使い始めた場所。
製造業の生産技術の現場でした。

真ん中の箱が、そこで見えていたこと。
エンジニアが、エンジニアリングに時間を使えていませんでした。
本来の仕事以外の作業に、時間を取られていたためです。

右の箱が、やりたかったこと。
エンジニアが自分の仕事に集中できる時間を作るために、それ以外の作業を Power Automate に任せる。
講座の運営の自動化も、この考え方の延長でやっています。

講座1回ぶんの作業の中で、講座で話す時間だけが青
▲ スライド4ページ:講座の運営で、価値を生んでいる時間はどこか

上の横長の帯は、講座1回ぶんの作業を、かかる時間の長さで並べたものです。
案内、参加者の確認、リマインド、講座で話す、集計、バッジの授与の6つ。

青くしたのは「講座で話す」だけです。
参加者が何かを持ち帰るのはこの時間で、灰色の作業は、必要だけれどそれ自体は参加者に何も残しません。

灰色の作業を、クラウドフローに任せる。この話の出発点はここです。
案内のメール30分、参加者の確認30〜40分など、合計約2時間15分〜3時間
▲ スライド5ページ:自動化する前の、講座1回ごとの裏の作業

左の棒グラフは、灰色の作業1つずつにかかっていた時間です。
斜線の部分は、回によって変わる幅を表しています。

  • 案内のメール:30分
  • 参加者の確認:30〜40分
  • リマインド:15〜30分
  • アンケート集計:30〜40分
  • 参加バッジの授与:30〜40分

足すと、右の枠のとおり講座1回あたり約2時間15分〜3時間。
講座で話す時間より、裏の作業のほうが長くなっていました。
なお、この時間は私の体感で、計測した値ではありません。

 

いまここ

1✓ きっかけ
2全体の構成
3状態で送る
4承認とAI
5配布キット

全体の構成

この節で分かること

Forms・クラウドフロー・SharePoint リスト・Outlook / Teams のつながりを見ます。
読み終えるとこうなる

仕組み全体の中で、人が触る所が2か所だけになっている理由が分かります。
Forms からクラウドフロー9本、SharePoint リスト5つ、Outlook と Teams へ
▲ スライド6ページ:全体の構成図

全体の構成図です。
左から右へ、データが流れる順に並べています。

  • 左上(参加者が触る):Forms の2つ。
    受講申込みとアンケートで、参加者が操作するのはここだけ
  • 真ん中(Power Automate):クラウドフロー9本。
    番号は、講座1回の中で動く順番(申込みの受付から延期・中止まで)
  • 下(SharePoint リスト5つ):講座の日程・出席・アンケート回答・バッジを記録する表。
    フローはここを読んで送るかを決め、送ったら結果を書き戻す
  • 右(参加者に届く):Outlook のメール、予定表の登録リンク、Teams 会議の参加URL
  • 左下(自分が触る):講座スケジュールのリストに日程とURLを入れ、配信承認を「はい」にする。
    運営者の手はここだけ

フローは毎回リストを見てから動くので、データは全部リストに残ります。
あとから参加人数やアンケートを集計するときも、このリストをそのまま使えます。

 

いまここ

1✓ きっかけ
2✓ 全体の構成
3状態で送る
4承認とAI
5配布キット

送る条件は、日時ではなく状態で決める

この節で分かること

アンケート案内のフローを例に、送る条件の決め方を見ます。
読み終えるとこうなる

中止・準備不足・再実行のどれが起きても、間違って送らない作り方が分かります。
日時で決めると起きる3つのことと、4つの条件
▲ スライド7ページ:送る条件は、日時ではなく状態で決める

左の赤い枠が、最初にやりがちだった書き方です。
開催日の翌日に送る、のように日時で条件を書くと、次の3つが起きます。

  • 中止になった回にも送る:日付が来れば、中止かどうかに関係なく動くため
  • URLが準備できていなくても送る:アンケートのURLが空のまま、案内だけが届く
  • 再実行すると二重に送る:フローを動かし直すと、同じ日付の条件をもう一度満たしてしまう

右側が、いまの書き方です。
アンケート案内のフローは、次の4つが全部そろった回にだけ送ります。

  • ① 開催実績が「開催済み」:予定や中止の回には送らない
  • ② 配信承認が「はい」:送る前に、人が1回だけ確認する
  • ③ アンケートURLが入っている:空のリンクを送らない
  • ④ 送信済みが「いいえ」:一度送った回には送らない。
    何回動いても1回だけになる

同じ1行を、毎朝フローが見て決める

講座の前、講座の翌朝、承認した翌朝、その次の朝、中止になった回の判定
▲ スライド8ページ:同じ1行を、毎朝フローが見て決める

この表は、講座1回分の行を、アンケート案内のフローが毎朝10時に見たときの判定です。
横に4つの条件、縦に日付の流れを並べました。
✓は条件を満たしている、×は満たしていないという意味です。

  • 講座の前:開催実績が開催予定なので①が×。
    送らない
  • 講座の翌朝:開催済みになり、URLも入った。
    ただ承認がまだなので②が×。
    送らない
  • 承認した翌朝:4つ全部 ✓ になったので送る。
    送ったらすぐ、送信済みを「はい」に書き戻す
  • その次の朝:送信済みが「はい」になったので④が×。
    もう送らない
  • 中止になった回:いつまでも開催済みにならないので①が×のまま。
    送らない
フローは日付を見ていません。4つ全部 ✓ になった朝に、1回だけ送る。

実際のリストでは

講座スケジュールのリストで4つの列を枠で囲み、行ごとに判定を付けたもの
▲ スライド9ページ:実際のリスト。フローが見るのは4つの列だけ(個人の検証環境のサンプル)

個人の検証環境に作ったサンプルのリストです。
オレンジの枠で囲んだ4つの列が、フローが見ている列。
右側に、行ごとの判定を並べました。

  • 第1回:送信済みにチェックが入っているので、もう送らない
  • 第2回:4つ全部そろっているので送る
  • 第3回:まだ開催予定なので送らない
  • 第4回:中止なので送らない

開催日時の列は、送るかどうかの判定には使っていません。
日付で動かさないので、中止・準備不足・再実行のどれが起きても、間違って送ることがありません。

リスト5つの中身

講座スケジュール・出席管理・アンケート回答・バッジ一覧・バッジ授与記録の列
▲ スライド10ページ:SharePoint リスト5つの中身

リスト5つの列を並べたものです。
左の大きい枠が中心の講座スケジュールで、1行が講座の1回。
ほかの4つは、次のような1行の意味を持っています。

  • 出席管理:1行が、1人の1回分の申込み
  • アンケート回答:1行が、1回答
  • バッジ一覧:1行が、1つのバッジ(どの回のバッジか、画像のURL)
  • バッジ授与記録:1行が、1人にバッジを1回渡した記録

列の色には、3つの意味を持たせています。

  • 青(講座回):ほかのリストとつなぐための列。
    参照列ではなく、同じ文字を入れてつないでいる
  • オレンジ(状態):開催実績・配信承認・送信済み。
    フローはここを見て送るかを決め、送ったら書き戻す
  • 緑(キー):講座回とメールアドレスをつないだ文字。
    同じキーの行がもうあれば作らないので、同じ人が2回申し込んでも1件、アンケートに2回答えてもバッジは1回だけ

枠の中の小さい英字は列の内部名、太字は表示名です。
列は英語の名前で作ってから、表示名を日本語に変えています。
フローは英語の内部名で列を読み書きするためです。

 

いまここ

1✓ きっかけ
2✓ 全体の構成
3✓ 状態で送る
4承認とAI
5配布キット

承認だけを残した理由と、AIの置き場所

この節で分かること

自動化したあとに人の手が残っている所と、その理由を見ます。
読み終えるとこうなる

どこに人を置き、どこならAIに渡せるかの線引きが分かります。
取り消せない操作の直前にだけ人を置いた
▲ スライド11ページ:自動化したあと。人に残したのは、送る前の承認

上の段が、自動化の前と後です。
前は講座1回ごとに約2時間15分〜3時間かかっていた裏の作業が、後は「日程とURLを入れる」「承認する」「講座で話す」の3つだけになりました。

下の段が、承認だけを残した理由です。
メールは一度送ると取り消せません。
そこで、取り消せない操作の直前にだけ人を置きました。

  • 左(人が確認する):メールを送る。
    送ったら取り消せない
  • 右(フローに任せる):リストの更新・記録。
    間違えても直せる
最初に作る時間、Forms の質問を変えたときの直し、講座回の文字をそろえる
▲ スライド12ページ:手放しではない所

手放しで良いことばかりではありません。
気になっている点を3つ並べました。

  • 最初に作る時間はかかる:フロー9本とリスト5つをそろえるまでに、最も手間がかかる。
    回数を重ねる講座ほど元が取れる
  • Forms の質問を変えると直しが要る:回答を記録するフローが、質問に合わせて作ってあるため
  • 講座回の文字を3か所でそろえる:リスト・申込みフォーム・アンケートで1文字でも違うと、メールの宛先やバッジが結び付かない
クラウドフロー、AIに渡す候補、自分の3つ
▲ スライド13ページ:この仕組みの中で、AIを置くならどこか

最後に、この仕組みの中でAIを置くならどこかを、3つの枠に分けました。

  • 左(クラウドフロー):開催したか、承認したか、URLがあるか、もう送ったか。
    手順も条件も決まっているので、Copilot Studio のエージェントに渡さなくてもクラウドフローで足りる
  • 真ん中(AIに渡す候補):アンケートの自由記述を読んで、次回に活かす点をまとめる。
    決まった手順がないところ
  • 右(自分):何を話すか、質問にどう答えるか、送ってよいかの承認。
    その場の判断が要るところ
AIを使わないのではなく、使う場所を1か所に絞る。AIに渡す場合も、参加者に送る前の承認は人に残す想定です。
この形は、社内の講座1つで回してきたものです。
ほかの講師や別の講座で同じように回るかは、まだ試していません。

 

まとめ

まとめ
▲ スライド14ページ:まとめ
  • 価値を生んでいる時間を先に決めて、それ以外はクラウドフローに任せる
  • 送る条件は日時ではなく状態。
    リストの1行を1つずつ進める
  • 人を置くのは、取り消せない操作の直前だけ
  • AIは、決まった手順がない所に絞って置く

 

いまここ

1✓ きっかけ
2✓ 全体の構成
3✓ 状態で送る
4✓ 承認とAI
5配布キット

参加してくださった方へ:ソリューション一式を公開しました

この節で分かること

LTで紹介した仕組みを、自分の環境に入れて試せる形で公開したキットを紹介します。
読み終えるとこうなる

キットに入っているものと、使い始めるまでの流れが分かります。

LTで話した講座運営の仕組みを、個人の検証環境で作り直し、ソリューション一式として GitHub で公開しました。

講座運営 自動化キット(GitHub)

クラウドフロー10本・SharePoint リスト5つを作るフロー・導入手順・設計の説明をまとめています。

GitHub でキットを見るgithub.com/ism136-work/koza-automation-kit

  • solution/KozaOpsKit.zip:ソリューション本体(クラウドフロー10本・接続参照3つ・環境変数3つ)
  • docs/setup.md:導入手順(インポート → リスト作成 → Forms 作成 → オンにする)
  • docs/design.md:設計の説明(リストの列・送る条件・二重防止・承認を人に残す理由)
  • forms/questions.md:Forms 2つの質問の作り方

使い始めるまでの流れは次のとおりです。

  • Power Automate の「ソリューション」画面で ZIP をインポートし、接続(SharePoint・Outlook・Forms)とサイトURLを入れる
  • 「00 リストを作る」を1回実行すると、SharePoint サイトにリスト5つと列ができる
  • Forms を2つ作ってフォームIDを環境変数に入れ、01〜09 をオンにする

動作確認の状況(2026-10-20 時点)

インポートと、リスト5つを作るフロー(00)は、検証環境で動くことを確認しています。
01〜09 の運営フローは確認を進めている途中です。
最新の状況は、リポジトリの README に書いています。
インポートしたフローはオフの状態で入るので、最初は自分だけを出席者にして試すのが安全です。

 

ご相談

研修・導入のご相談について

Power Automate と Copilot Studio の使い方を、職場向けの研修や導入の相談としてお受けしています。
内容と進め方は、下のページにまとめています。

職場向けの研修導入の相談

研修・相談の内容を見る →

ご相談はページ内のフォームから受け付けています。
返事は3営業日以内にお送りしています。

Power Automate を45分で1テーマずつ扱う無料のオンライン講座 PA45 も、毎週開いています。
開催の形や過去回の一覧は、PA45の紹介ページ にあります。

※ 本記事は公開日時点の情報と、筆者が検証用の環境で試した結果をもとにまとめています。画面や仕様は変更されることがあるため、最新の状況は Microsoft Learn もあわせてご確認ください。

※ 本記事の構成や図解の一部は、AI と壁打ちしながら作成しています。

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