講座を続けて気づいた「DX推進の本質」──心理的ハードルを越えるために必要なこと

本記事で紹介している内容は、あくまで個人の経験・学びを一般化したものであり、特定の企業・部署・活動を特定できる情報は含んでいません。具体的な人数や内部プロセスは全て抽象化し、一般的なノウハウとして再構成したものです。


※本記事は、私が社内で実施してきたPower Automate講座の経験をもとに執筆しており、
組織名・人数・具体的な状況はすべて抽象化したものです。
実体験をベースにしていますが、「再現可能な知見」として読めるよう一般化しています。

私はこれまで、社内でPower Automateの教育を継続的に担当してきました。
その中で、Power Automate Desktop(PAD)の講座をおよそ一年間にわたって運営し、
その後にクラウド版 Power Automate(以下PAクラウド)へと軸を移しました。

PAD講座を続ける中で、私の頭の中にはずっとモヤモヤが残っていました。

──「市民開発者を育てたい。でも、実際には“作るところ”まで辿り着ける人が少ない。」

これはPADが難しいという話ではありません。
むしろツール自体は素晴らしいのですが、受講者が日々の本業で忙しいなか、
「初期設定」「変数」「アクションを積む」といった部分が、心理的にも時間的にも大きな壁になっていました。

その結果、受講者数は徐々に減り、
「どうすればもっとラクに、もっと自然に、DXの一歩目を踏み出せるだろう?」
という問いを抱えるようになりました。


◆ PADからPAクラウドへ──“負担ゼロ型講座”の発想

この課題感から、私は次のように考えるようになりました。

「フローを一から作らなくてもいい。“動く体験”から始めればいいのでは?」

そこでPAクラウドの講座では、

  • サンプルフローを配布して動かしてみる
  • 設定項目の少ないアクションだけ触る
  • “動いた!”という成功体験を最優先する

という設計へと大きく舵を切りました。

さらに講座時間は25分固定
専門用語は徹底的に排除し、講座後には質問タイムだけをゆるく設ける。
これらの設計は「DXに関心がない人」「ITが苦手な人」にも届くことを目的としました。


◆ DX推進の本質は「心理的ハードルとの戦い」だった

半年ほど講座を続ける中で、私はひとつの結論に辿り着きました。

DX推進とは、ツールの話ではなく “心理的ハードルを取り除くこと” である。

多くの人がDXに向き合うとき、真っ先に立ちはだかるのはツールの複雑さではなく、

  • 「難しそう」
  • 「失敗したら怖い」
  • 「自分には関係ない」
  • 「ITは苦手だから向いていない」

といった“心の壁”です。

逆に言えば、この心理的ハードルさえ取り除ければ、
Power Automateの習得はそれほど難しくありません。

だからこそ、私は講座全体を次のように設計しました。

  • とにかく分かりやすくする(専門用語は一切使わない)
  • 講座は短く(25分固定・時間厳守)
  • まず動くところから始める(サンプルフロー)
  • 質問は講座後にゆるく受ける
  • アンケートで改善し続ける

すると、講座の空気感そのものが変わり始めました。


◆ そして訪れた「行動が変わる瞬間」

PAクラウド講座では「サンプルフローを動かすだけ」で十分としていました。
これは“作る負担”を取るための工夫でしたが、
講座を重ねるほど、ある変化が起こってきました。

「自分でもゼロから作ってみたいです」
「この前のフロー、応用して自部署用に作ってみました」
「最初は怖かったけど、触るのが楽しくなってきました」

この言葉を聞いたとき、私は心の底から嬉しくなりました。

負担ゼロで成功体験を積むと、人は自然と“作る側”へ移行する。
これは、講座をやっていないと絶対に気づけなかったことです。


◆ そして気づいた「DX推進に必要な3つの軸」

半年間の講座運営で、私が最後に辿り着いたのは次の3つのシンプルな原則でした。

  1. 心理的ハードルを取り除くこと
  2. とにかく分かりやすくすること
  3. 相手の立場に立ってデザインすること

DX推進とは、「ツールを押し付けること」ではありません。
人の気持ちに寄り添い、安心して一歩目を踏み出せる場を作ることです。


◆ 私が目指したい講座の姿

私は、Power Automate講座を単なる“技術講座”としてではなく、
「自分でもできるかもしれない」と気づく場所として育てたいと考えています。

・失敗しても大丈夫
・専門用語が分からなくても問題ない
・たった25分で一歩踏み出せる
・気軽に質問できる

そんな“安心の空間”があるだけで、
初心者は驚くほど前向きに変わっていきます。


◆ まとめ──DXは人が変わるプロセスであり、技術の前に「寄り添い」がある

Power Automateは確かに素晴らしいツールです。
でも、ツールの前に必ず「人」がいます。

だからこそ私は、これからも次の姿勢を大切にします。

  • 難しいものを、簡単にする
  • 怖いものを、安心に変える
  • その人の“最初の成功体験”をサポートする

DXとは、テクノロジーそのものではなく、
人の気持ちと行動が変わり始める瞬間の積み重ねです。

これからも私は、初心者に優しい講座づくりを通じて、
一歩目を踏み出す人を増やしていきたいと思います。

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